✨どしゃ降りだっていいじゃないか。最後に晴れれば✨

小説家・小宅高洋(新ペンネーム)のひとりライフ。

■ 8/17(金) ②ひさしぶりに他人を怒鳴ろうと思った。

そういえば、おととい、ひさびさに頭に来て、

「ちょっと待てよ」

と呼び止めようかと思ったことがあった。

 

テラスモールのアクタスに入ろうと思って、ドアを開けようとしたところ、店内から乳母車を押した若いお母さん方が話をしながら外に出るところに出くわした。

当然のことながらガラスのドアを引き、彼女たちが出てくるのを待っていた。すると先頭の少し大柄で小太りの女、僕をちらっと見たあと、すぐ後ろをふり返って、もうひとりのママと話の続きを始めた。

そのママも乳母車を押しているのだが、これがもう遅い。

もたもたもたもたして、話をしながらゆっくりゆっくりと出てくる。ふたりとも僕がドアを引いているのを知りながら、である。

 

だんだんムカムカして来た。ふつうだったら

「あ、すみませーん」

とかいいながら、少し急いで出てくるだろう。

それを、まったくスピードを上げずに後ろを向いて話をしながら、ようやく外に出た。

もちろん、すみませんというなり、会釈するなりするだろうと思っていた。

ところがまったくドアを引いてずっと立っている僕の横をただすり抜けただけ。

ふたりめもそう。

前のママと話を続けながら、あたかも僕がドアを開けて待っているのがさも当然といった様子でカメのようにのろいスピードで出て来た。

途中でドアを持つ手を離そうと思ったが、それじゃ乳母車に当たってしまうから、全員外に出てから、

「あんたたち、ちょっと待てよ」

といおうと思い、そのまま待っていた。

たぶん相当けわしい顔をしていたと思う。

ちょっとひさびさにキレたなと自分でも意識していた。

美人で性格が悪いというのは、さもあらんと許せる場合もあるが、こんなにきっちり化粧をした小デブの性格悪い女に、なんでオレはドアマンあつかいされなきゃならないのかと怒りがどんどんあらぬ方向に向かっていった。

 

さあ二人目がようやく出て来た。三人目が出終わったら先頭の女に、

「おい」

と声をかけて、

「あんたなにさまだよ」

とけんか腰になろうと思っていた。そのぐらい頭に来ていた。

さあてもうすぐだ、と思ったところで、三人目の、前のふたりより大人しそうなふつうのママさんが、僕の目を見てすまなそうな笑いを浮かべながら、頭を下げた。

 

(あ……)

これで出鼻をくじかれてしまった。

三人目だけはマトモだったのだ。

怒りのやり場を失ったまま、黙って店内に入った。

どうしようかと思ったが、なんだか振り上げた手をおろせない感じでムシャクシャしながらも、なんとかガマンした。

 

あれ、三人目のママがいなかったら、僕はそうとう大きな声を出しながら、わざと広場の混雑した客の注目を引きながら、「ゆっくりていねいに」怒鳴っていただろうと思う(それが年の功というやつで、怒鳴るだけだとキレやすいオジサンあつかいで終わりになるのはわかっているから、もっとまともそうな年上のおばさんとかに聞かせながら怒鳴ろうという姑息な (-ω-;)作戦まで思い浮かべていた)。

いやあ、ひっさしぶりだった。デカイ声出そうかと思ったのは。