✨どしゃ降りだっていいじゃないか。最後に晴れれば✨

小説家・小宅高洋(新ペンネーム)のひとりライフ。

■ 7/28(土) ⑤官僚の力を弱めるには(1)

官僚の力を弱めるには、給料を今の3倍から5倍ぐらいにすること。

だと思う。

 

「えっ? なんだとぉ?」

 

聞き捨てならないぞという人が多いと思うけど、実はこれは僕の昔からの持論で、国家官僚の給料は、安すぎると思うのであります。

消費税増税に必死の野田政権が、少しでも批判をかわそうと公務員の給与をさらに削減する方向を強めているのとは、まったく逆のことを主張しているのは重々承知。

ではなぜ国家官僚の(地方公務員ではなく)給料を上げると、その官僚自体の力を弱めることができるかと言うと――

 

■そのむかし中国大陸では、たとえば劉邦が建国した漢などにおいて、官僚たちはそんじょそこらの貴族よりはるかに強い権限と給料を手にしていた。

官僚たちはその金を使って、一族全員を養い、家のさらなる発展のために血の繋がった子どもたちの教育に力をいれるばかりでなく、多くの有能な人材を集め、さらには多くの書生を養って食べて行けるようにしていた。

 

もちろんそこには「自分の家族や親類のため」という私利私欲はあるし、国家や社会になにかを還元することなく、ひたすら私腹を肥やすことに専心していた人間も多かっただろう。

しかし一方では理想に燃え、貧しい書生たちに学問を教え、国家経営のあり方について自分の考え方を伝えることによって後生を育成したような官僚も少なくない。

 

ところが時代は下り、宋の時代、とりわけ朱子学の登場した南宋の時代あたりから、官僚の腐敗がひどくなってゆく。

それは官僚への俸禄が高すぎるという、朱子学に代表される観念的すぎる哲学や思想が流行してきたことと反比例しているように思える。

(事実それを指摘した著名人もいたんだけど、そうしたことをきちんとメモしておく習慣のない小生には、もはや誰だかちっとも思い出せない……)

 

つまり官僚というのは、たとえば科挙などのきびしい試験をくぐり抜けてきた超エリートの集団であるからして、自分たちがそれなりの待遇をされて当然だと思う傾向にあることは、むかしの中国も現代の日本も感情的にさほど変わりはないはず。

 

となると(それがいいことか悪いことかは措いていて。悪いと断じたのは朱子学を初めとした思想家たちだった)、官僚たちは削られた俸禄をどこかで取り戻そうと暗躍を始めるのは必至とも言うべき流れだった。

そこにおいて、中国ではますます賄賂政治が盛んとなり、日本では天下りという手段で退職金稼ぎが横行するようになっていった。

 

公務員改革などと口ではカッコいいことを言っている民主党だが、民主党はそもそも官僚機構に組み込まれた操り人形に過ぎないから、天下り先を本気で規制しようとはしていない。

これは自民党政権の時代より、さらにひどい様相を呈しているらしい。

自民党も相反する利害を持った政治家たちの集団ではあるけれども、だからこそたとえば「みんなの党」の渡辺喜美氏のように、徹底的に官僚機構と対立した政治家だって存在したのである。

 

民主党も官僚も、我々国民をどうやら猿あつかいしているらしく、「朝三暮四」で国民のほとんどはだませると思っているらしい。

というのは、いくら公務員の給与を削減したって、その分、天下り先の退職金を上載せすれば、生涯賃金はまったく同じになるんだから。

いや、同じどころじゃなくて、彼らが国家公務員である時には政府与党の権力をもって規制をすることが可能だったのに、それが独立行政法人だの民間会社に天下ってしまったら、規制のしようがない、すなわち野放し状態になってしまうのだ。

これを避けなければ、公務員改革など出来はしないし、官僚OBたちの暗躍を阻止することはできない。