✨どしゃ降りだっていいじゃないか。最後に晴れれば✨

小説家・小宅高洋(新ペンネーム)のひとりライフ。

既存の出版社の間隙を縫う。そこに電子出版が時代の寵児となるチャンスが転がっている。

電子出版は、売れません。儲かりません。

というと、

「ここまで話を引っ張っておいてなんだよ!」

と鉄拳が飛んできそうですが、しかしそれはあくまで大~中出版社のオーソドックスな視点、手段から見たことであって、そうした出版社が手を出さないところに宝が眠っている、という指標にもなり得るんです。

理系本でのチャンスは大きい。

前回書いたブルーバックスシリーズのようなもので、それをもっと簡単にするのか逆に専門的にするのかはその出版人の編集方針次第ですが、たとえばノーベル賞を取った科学者や医学博士らによってクローズアップされた情報を、いちはやく書籍化し、その原則や原理がまずはざっと頭に入るようなシリーズだったら、購買層は少なくないかと思います。

言わば、ブルーバックスの大衆版です。

 

「その書き手はどうするんだ」

と聞かれれば、これは大型書店で入門書を読み比べてから、その筆者――大学の教授なり、天文台に勤務する技術者であったり――を調べ、その人に実際に会って仕事を依頼するということが基本です。

そのためには科学一般について、浅く広く知識を仕入れておかなければなりませんが、これが電子出版における大きな財産となります。

そして一冊では売れないでしょうが、天文、気象、宇宙、医学、時間、深海、火山、地震といった分野を少しずつそろえていって、シリーズが10冊20冊溜まってくれば、わずかながらも本は動き出す、即ち売れ始めると思います。

なにしろ売れ行きは悪かろうが「在庫を抱えない」というのが電子出版の最大の強みであり、著者に対する謝礼の支払いにお金がかかるぐらいですんでしまうので安心です。

その謝礼ひとつとっても、話の持って行き方ひとつで、例えば印税を60パーセントにする代わりに、最初の原作料は10万円にして欲しいとか、将来の夢を説いて説得するというのは電子出版の営業という形でやらなければならないことの一つです。

 

すなわち、購買者の多そうなジャンルで、原稿が書けるか或いは口述筆記ができるかを見極め、その人間に10万円なら10万円を投資……というのが電子出版を事業として始める人間の最低限の投資です。

しかしその投資は、何年か続けるうちにすべて知識として残るわけですから、年月が経てば経つほど、仕事はラクになっていくはずです。

 

英語の本は根強い人気。

 

他に思いつくのは、やはり英語です。なかでもTOEFLです。

これを片や電子出版し、片やスマホで閲覧できて、全文ネイティブの発音付き、となれば、そこそこの部数は売れるでしょう。

科学者もそうですが、

「出版社からお声はかからない。しかし自分の名前で本を出してみたい」

という人たちは少なくないはずです。

自分はこうやってTOEFL試験の点数を100点上げたとか、留学した人間で、名前を出したい、自分の人生の証にしたいと思う人は想像以上にいるということです。

 

自分の知識が増え、手持ち(イヤな言い方ですが)の著者が増えてくれば、彼らが待ち望んでいる紙出版もできるようになるはずです。その場合、最初は自社だけで儲けるのではなく、小学館とか集英社とか、学研や徳間とか、そうした既存の有名会社に話を持ち込んで、そこから発売してもらうという手もあります。

 

僕が会社をやめた直後に出版社を立ち上げた先輩が出す本は、裏表紙を見ると、発売●●出版、販売▲▲出版などという形になっていました。

つまり、既存の出版社ではあるが、売れないので在庫がたまって事業が停滞、けれどもまたいつか第一線に復帰したいな考えている出版社にマージンを払い、その書店の名前とISDN コードを借りて販売するという形です(ISDNコードを手に入れて、初めて取次が相手にしてくれる。Amazonではこの取得が必須)

名前やISDNコードを貸す側にとっては、在庫をとっておく経費(倉庫代、人件費)を払わずに済むし、売れないだろうがもしかしたら売れるかも知れないんだし、実害がないんだったらやってあげようというメリットがあるんです。それまでつき合いがないからと、無碍に断ることはないと思います。

大出版社であろうが、無名の出版社であろうが、書店で真剣に中身を見比べて買う本を決める人たちには、まったく関係の無い世界なのです。

 その他のジャンルにも宝物は眠っています(続く)。