✨どしゃ降りだっていいじゃないか。最後に晴れれば✨

小説家・小宅高洋(新ペンネーム)のひとりライフ。

専門出版社全盛の時代がやって来る!(4)

娯楽といえばテレビか映画、本ぐらいしかなかった時代とは違うのは言うまでもない。

だから以前のように、食うや食わずでいるライターや作家がいる一方で、編集者は外車を購入し、家族でハワイ旅行しているなんて儲かり方をする時代はまずやって来ないだろう。

 

これからますます流行するであろうe-スポーツのように、世界の国境をまたいだ娯楽がどんどんと勢いを増していくことは必至だからである。

YouTubeしかり、家でコツコツとやるネットゲームしかり。

 

以前僕が初めてネットゲームを始めた頃は、まさしくインターネットが世界に普及し始めた時期で、それまでのコンピュータ相手の「あらかじめプログラムされたオープニングからエンディングが用意されていた時代」とはまったく違って、あるRPGゲームでは、中国チーム、韓国チーム、アメリカチームなんてモノがネット上に自然と形成されていって、いかに相手を倒すかについてリーダーたちが作戦を練り、その一方では一定時間になると湧いて出てくるモンスターたちが存在し……という筋書きの無い世界に度肝を抜かれたものだった。

(基本的に英語が公用語になっていたから、とりわけ日本人には不利だったんだけど)

それがここ5年とかいったあたりで、ネットプレイの参加者が、ヨーロッパ各国、やがて東ヨーロッパ、中東と広がりを見せていったのだが、インターネットが世界中で利用されているんだと言うことが、ネットゲームからもわかって面白かった。

(僕が今遊んでいる「ゲーム・オブ・スローンズ」はNetflixで長~く続いている中世での戦いをメインにしたドラマとのタイアップ(?)なのだが、ブルガリアとかデンマークとかから接続していて、東ヨーロッパや北ヨーロッパあたりからの参加者がいちばん多いのではないかと思われる)

 

ちょっと話題がそれたけれども(いつもだ)、ことほど左様に娯楽が増え、しかも世界規模になっている現状では、日本国内に特化した出版は、おのずと発展性においては限界があり、ライト・ノベルスや本屋大賞受賞作、東野圭吾氏を筆頭に、伊坂幸太郎氏らによる広義のミステリー、池井戸潤氏らの熱血企業小説、いまだに根強いホラー物など、それぞれにコアなファンがしっかりと付くものの、他のジャンルには見向きもしないなんて読者が多くなっているから、よほどアイデアが傑出しているとか、時代のタイミングに合っていたとか、幸運も重なったりしない限り、こっちでもあっちでもミリオンセラー、なんて状況にはなりにくくなっているのだ。

 

そこへ行くと、外車やハワイ旅行は無理にしても、地道にやっていればなかなかつぶれないというのが「専門出版社」なのである。

(ようやく話がここまで来たか😢)

 

例えば僕が時々買って読んでいるのが、講談社ブルーバックス・シリーズだ。

ご存じの通り、理系の諸問題について丁寧に解説した本なのだが、文系の自分が、例えば気象学について学びたいとか、地震や噴火のメカニズムについて知りたいとか、あらためてブラックホールについて学びたいかいったときに重宝することこの上なく、今ではシリーズ2000数百冊も刊行していて、未だにネタが尽きない。

そりゃ、科学にしても化学にしても、学問はどんどん進歩するのだから、ネタにも限りはないのである。

しかしそれにしたって、発刊されたのが1963年だというから、とにかく驚く。

 

しかも何千冊ものシリーズのうち、まずは興味のある分野について広くつまみ食いをしてみて、くすぐられた分野が見つかったとしたら、さらにそこから中級書、上級書(専門書)へと進んでいけばいいという入門書的な存在となっているから、雑学のように、それ一冊読めばほぼ事足りるというわけにはいかない。

興味のらせん階段は、上へ上へと続いてゆくのである。

その路線にしっかりとフォーカスしたのが、せいぜい数人でやっている小出版社だ。

理系の素養があるならば、特定のジャンルをひとりでコツコツと出版していくというビジネスも可能なのである。

 

そして現在において、その専門出版社にはさらなる追い風が吹いてきている。

それが電子出版というネットでの本作りである。

小出版社がつぶれる最大の原因である「在庫の山」が、電子出版では起こりえないのだ。

鬼に金棒状態となりつつあるが、この出版形態は逆に、理系という分野を離れて、ありとあらゆる分野で本作りを可能にし始めたのだ。

ネットにおいては、大儲けこそできにくいものの(それでも紙代、印刷代、製本代が基本的には必要ないのだからリスクも少ない)、不況に揺れた出版業界は、そこに大いなる活路を見いだしつつあるのである。