✨どしゃ降りだっていいじゃないか。最後に晴れれば✨

小説家・小宅高洋(新ペンネーム)のひとりライフ。

■1/12(土) 大人のウソ。「借金しないヤツはバカ」

バブル全盛のころ、マスコミも経済評論家も、こぞって、

「企業も個人も、借金しないのはバカだ」

と声高に叫んでいた。

 

その結果、企業は莫大な金を借り入れ、必要もないのに土地や株を買いあさり、そこで儲けた人間を社内で出世させて、

「新しい企業の価値観を体現した男」

として持ち上げ、取締役や代表取締役にまで祭り上げた。

 

個人も同じで、やれアパート経営しないか、先物投資が儲かりますと、銀行や証券会社が資産のありそうな個人宅を一軒一軒まわっていた。

 

世の中は浮かれて、企業は本業より儲かるからと、本来の業務をないがしろにしたし、個人も身の丈をはるかに越えたマンション購入やアパート経営で、借金をしまくった。

f:id:blueseashell:20130112161104j:plain

こうした世の中の潮流に異を唱えた経済学者や評論家も少数ながら存在したけれども、圧倒的多数の声を前にして、すごすごと引き返さざるを得なかった。

日経の株番組を中心として、マスコミもやれ行けそれ行けだったから、少数派に時間やページ数を割くことなどしようともしなかった。

 

そのバブルが崩壊(その後の平成景気までをバブルの余韻と見るかどうかによって違って来るが、1991年~1992年末ごろまで)した挙げ句どうなったか。

借金をするための担保に入れた土地や株は下がり続け、借金返済ができなくなった企業や個人が、どんどん破綻していった。

 

一般企業や個人だけではない。例えばオリンパスの隠れ借金事件に見られるように、誰もが知っているような企業でさえ含み損を抱えていたことが会計基準の変更によって明るみに出て、

「まさかあの企業が……」

と驚くことになったのは記憶に新しい。

f:id:blueseashell:20130112162618j:plain

 

■ここで優位に立ったのは、有名な話だけれども、例えば名古屋の経済界だ。

彼らは伝統的に無借金経済をするお堅い風土に根を張っていたため、東京や大阪の商人たちのように決定的な打撃を受けなかったそうなのである。

「なるべく不要な借金をしないで、本業に精を出す」

という、ごく当たり前の考え方に従っていたから、損失が比較的軽微で済んだと聞く。

だからこそ、オリンピックにはぴったりの土地だったらしい。

 

しかしその名古屋の経済界を含め、無借金経営をめざし、頑固に本業に専念していた企業を、

「古くさい企業体質」

とボロクソにけなしていたのが、銀行や証券、保険会社と、そのお先棒を担いでいたとしか思えない日本経済新聞と、彼らに雇われた経済学者、経済評論家の「大人」たちだった。

しかしバブル崩壊の後、彼らが、

「自分の見識が間違っていた」

と謝罪の言葉なり弁明なりをしたという事実は、寡聞にして知らない。

 

その時の痛みがまだ記憶に新しいせいか、バブルの頃のように大はしゃぎをする経済学者や評論家は少ないようだが(テレビ東京の日経の金融ニュースなどを視ていると、キャスターたちが息を吹き返したように目を輝かせている気がするけれども)、安部ノミクスだかなんだか知らないが、好景気が長続きすれば、そうした経済の専門家である「大人」が、舌の根も乾かないうちにしゃしゃり出て来るような気がしてならない。

事実、安部ノミクスを当て込んだ金融商品の売り込みは、すでに過熱しつつあるようだ(参院選までに企業や個人(これを末端の「ごみ投資家」と呼ぶ)に売りつけてしまい、できるだけ儲けろorこれまでの損失を減らせと銀行・証券など金融業界内部での大号令が出ているに違いないとにらんでいる)。

 

前回は酒と煙草という、どちらかというと小さな話だったが、一流大学を出て一流企業に入った日本のエリートたちが、同胞に向かって平気でウソをつくという実態を、肝に銘じておかないといけないと思う。

とりわけ自分の子どもたちには、

「捨ててもいいような余剰資金があるなら、遊び感覚でやってもいいが、個人の投資家なんかに情報が入ってくるのは、大企業や日本の富裕層がさんざん食い尽くして、ヘタすりゃ売り抜けるつもりでいるということを忘れるな」

と伝えておいた方がいいと思う。

 

もちろん自分の人生の時間を、トレーダーとして費やしたいという希望があるならば、話は別だろうけれども。