■ 8/25(土) ②長編の書き下ろし小説に戻りたいけど。
「いわしの香草オイル煮」というのを作ってお昼ご飯。
上沼恵美子氏の料理番組のレシピをアレンジした云々と書いてあるけど、僕もアレンジして、アボカドソースをつめたーく冷やした(だけ)。
http://fraisesdesbois.blog.fc2.com/blog-entry-214.html
午前中の仕事はいまひとつ。
どうも乗らない。
いや、読んでて自分でも面白いとは思うんだけど、ほんとにここ2年ぐらいで、書きたいレベルが違って来てしまったようだ。
今書いている作品を提出する予定の出版社の人が、僕の雑誌連載を見て、
「ハードカバーで出せるかどうか会議に出してみます」
と言ってくれたが,結局はショートショート過ぎるということでボツ。
冒険は決してしない会社であることがわかった。まあ以前の編集長の時からそうだったけど。
会議に出してくれた編集者はとにかく優秀な人で、しかも冒険心があるんだけど、会社の方針があるから板挟みになってしまって気の毒なことこの上ない。
しかしその編集者が言ったように、どうも頭の中が、
「ハードカバー」
というか、書き下ろし文庫で無難にシリーズ化する作品ではなく、一発勝負というか、それ一冊で完全に完結できるきちんとした小説が書きたくてしかたがなく、いろいろなテーマが思い浮かぶんだけど(昨日もジュンク堂でふらふらしているうちに2本も浮かんですぐさまメモ(._.)φ)、すべてがハードカバー向きのもの。
(ただし、ハードカバーと文庫とをなぜわけるのか、そのあたりに納得できないものがあるんだけど……)
しかしハードカバーはかなりレベルが高くないと出版されないし、されたとしても刷り部数は非常に少ない。
だから書く前も時間がかかるし、書いた後も印税が安いということで、歯を食いしばってかかないとダメ。
これについては村上春樹氏がインタビュー本の中で、
「お金と言えば、あのときあのことである程度まとまったお金が入ったから(『ノルウェイの森』のこと……我が輩註)、『ねじまき鳥クロニクル』を、僕は五年近くかけて書くことができた。そういう意味で、長編書き下ろしを中心にやる小説家にとっては、お金は現実的に大事なんです」
としゃべっているけど、とにかく生活費に事欠くことになる。
これがね……ツライわけです。
僕のデビュー作となった作品も、5年ぐらい調べて書いてようやく出版の運びとなったんだけど、新書の上下巻で180万円ぐらいになったかな。額面で。
でも、それっきり。
まったく注目もされないまま終わってしまった。
180万円なんて、ひとりだって1年持つか持たないかなのに、家族4人だったらあっという間に消えてしまう。
まあようやくひとりになれたわけだけど、これをやるとそれこそクリニックにも行けなくなる可能性もあるわけで……かなり勇気が必要。
だけど書きたい物はそっち。
というわけで、いわしを食べながら悩んでいたわけです。
ローズマリーをベランダ栽培しておいてよかった。