✨どしゃ降りだっていいじゃないか。最後に晴れれば✨

小説家・小宅高洋(新ペンネーム)のひとりライフ。

■9/20(金) ②ダイヤモンドの怨み(-◇ー;)

■日中、映画館で観たかったブラッド・ダイヤモンドを遅まきながら観てびっくり。

単純に映画としていい出来だったし、ディカプリオが俳優としての厚みを示し始めたのは、このアクション映画がきっかけではなかったかと思う。

そしてこの映画のすごさは、明らかに「紛争ダイヤ」を買って儲けているのは、ダイヤモンドの取引会社であるデビアス社を、名指しに近い形で大衆の前に引きずり出していることだ。

(映画の中では、仮名バン・デ・カープ社)

よくもまあ、ユダヤ系資本のワーナーでこんな映画を作れたなと驚くと同時に、自分がかつて若い頃、某雑誌(2年あまりで廃刊)で展開した

「婚約指輪は給料の3カ月分なんてふざけんな!」

って記事が問題となり、デビアス社の日本法人から広告部に話があって、

「この記事を訂正しろとか謝罪しろという気はありません。ただ、我が社としても企業活動の一環としてやっているキャンペーンですから、以降、貴社に広告を載せるのは遠慮させていただきます」

というやんわりとした脅迫が来たのである。

(記事をデビアス社に対して“ご注進”したのは、間違いなく電通博報堂である。彼らにとって出版社など、「広告を出してやっている存在」に過ぎず、あくまでスポンサー第一、出版社は第二、読者はただの迷えるゴミ)

この申し入れ(?)に対して、広告部は上を下への大騒ぎとなった。

 

なぜなら僕が入社した出版社は、女性向け雑誌がたくさんあって、少なくとも当時は男性向け雑誌全体の売り上げをはるかに凌駕していたので(その後世の中が不況になると、男性誌が息を吹き返し、逆にコストパフォーマンスの悪かった女性誌が青息吐息となる逆転現象もおこったのだが、さらにその後、両方とも沈没(-ω-;)、その女性誌に対するデビアス社の出広は、年間数億円になっていたのではないかと思われるからだ。

(当時の編集長談)

 

なにも悪いことをした覚えのない僕は、

「そんなこと言われたって、売ったら二束三文にしかならないダイヤモンドを買わされる読者の立場はどうでもいいってことですか」

と逆に副編に食ってかかったのだが、間に挟まって苦慮した編集長は、

「いや、君はなにも羞じる必要はない。ただ、この処理は僕にまかせてくれ」

と頭を下げて来たので、入社3年目(!)としてはどうすることもできず、ふざけんな広告部とかぶつぶつ言いながら仕事をしていたのだが、なんと翌々月だったか、ダイヤモンドのすばらしさを取り上げた記事が本誌を飾ったことを知って、驚愕したことを覚えている。

なにしろ、問題視された僕の記事は、モノクロでたったの4ページ。デビアス社をヨイショした記事は、オールカラーで8ページだったのだあ!(-◇ー;)

 

今考えてみれば、その記事をやった時のデビアス社は世界中で行け行け状態の勢いがあったが、この映画の時期ともなると(今から6年前に公開)、デビアス社の凋落ぶりがはなはだしくなっていたのが、映画化できた原因であるのかも知れない。

(ユダヤ人だって、全員がデビアス社を支持しているわけじゃあるまいし、ライバル社もあれば、ダイヤモンドの独占はおかしいと主張する人々もいるだろうし、第一に結婚指輪にダイヤモンドを選ばず、その他の宝石や金属を求めるなど価値が多様化したことが凋落の背景にあるだろうと思う)

 

いやあ……そんなことを思い出して、ちょっと複雑な気持ちで観終わった映画だった(アフリカで搾取されたダイヤモンドということは漠然とは知っていたが、“紛争ダイヤ”と呼ばれる物が、映画の舞台となったシエラレオネや、アンゴラ、コンゴなどの内戦の内情について、これまでまったく無知であった)。

 

しかし入社3年で(4年だったかな?)そんなことやっていた我が輩は、相当に問題児だったと思うが、会社を辞めた今、広告部や女性誌の編集者には、

「会社さえ儲かりゃ、読者はどうなってもかまわないのかよ!」

と猛省を願いたい。

おっと、ちょっぴり熱くなってしまった。お下品、お下品……