辞世の句、これもいい。
世の中に惜しまるる時散りてこそ 花は花なれ人も人なれ
(月清上人。備中高松城で信長の死を知らずして自刃した武将清水宗治の兄清水宗知。天正10年(1582)自刃。享年不詳)
散りぬべき時知りてこそ世の中の 花も花なれ人も人なれ
(細川忠興の妻。明智光秀の娘・明智玉子。後生、洗礼名をとって細川ガラシャと。享年38)
つゆとおち つゆときへにしわがみかな なにわのこともゆめの又ゆめ
ながらへば ありつる程の浮世ぞと おもへば残る言の葉もなし
(京三条橋下にて常住せし二十歳ごろの女乞食 自害して果つ)
子よ孫よ まどゐて花をながむれば 老がひがめの恥もけぬべし
我死なば焼くな埋むな野に捨てて 痩せたる犬の腹を肥やせよ
(嵯峨天皇の后、檀林皇后。享年65)
討つ者も討たれる者も土器カワラケよ 砕けて後はもとの土くれ
(三浦義同ヨシアツ。出家後、三浦道寸。後北条氏によって一族滅亡。享年65)