✨どしゃ降りだっていいじゃないか。最後に晴れれば✨

小説家・小宅高洋(新ペンネーム)のひとりライフ。

出版不況ってホントなのか?(3)

ホントです😂。

まず食えなくなったのが、フリーランスのスタイリストやヘアメイ

ク。 

 だって仕事のメインである雑誌が売れないんだもの、素人やそれに近いグラビアアイドルの仕事をやってたって、振り込まれる印税だけじゃとてもやっていけない。

 

スタイリストは膨大な時間を費やしていろいろなお店と交渉し、営業し、洋服なんかを借りてくるわけです。

どんなに短くったって1日じゃとても終わらないでしょう。

それを撮影の前日までにそろえて、最終的にサイズのチェックなんかやっておかなくちゃならない。

で、撮影が終わったら、翌日にはこれまた1日かけて返却作業。車で移動しているスタイリストさんはそう多くはなくて、渋滞に巻き込まれちゃうことを考えると、せいぜいがタクシー。

出版社が不況だから、そのタクシー代もギャランティーに含まれる場合なんてところも少なくない(不況につれて増えてきた悪徳支払いのひとつですね。自分たちはタクシー乗り放題でやっていても――もうこれはほとんどなくなって、事前にタクシーチケットを書き、上司のハンコを押してもらいなど、出版社にもよるけど、交通費使い放題なんて出版社はさすがに絶滅した)。

極めて大雑把な計算だけど、月に10本仕事が入っていたって、残り時間はそうした借り入れと返却とに費やされるわけです。

それでも仕事の数が多ければ、同じ店で複数の雑誌の洋服や小物を借りてしまい、返却は大変だけど1日でいっぺんに済ませればなんとか食べていけた。

ところが月に10本どころか3本ぐらいしか仕事がなくなってしまえば、そうした掛け持ち仕事もできないわけで、これで1日あたり8000円とかのギャランティーをもらえるとしたら、月収2万4000円なんてことに……10本の仕事を毎月確保するなんて芸当ができる「営業の得意な」スタイリストですら月収8万円。

シック/モダンなファッションの高解像度イラスト

食べていけるのは、有名タレントに指定されているなど、日給的にもかなり単価の高いスタイリストだけ。

なにしろそのスタイリストを使わなければ雑誌に出ないとタレントに言われたら、そりゃあどんなに高くたって、出版社としては使わざるをえないでしょう。

有名タレント指定だけでなく、事務所指定なんてことができている人はかなりの高収入になる。例えばAKBやその後輩たちの衣装を一手に引き受けるなんてことになったら、アシスタント数名を雇える事務所を作るぐらい儲かる。

でもそんな人、日本に何人いますか?

しかも事務所やタレントから嫌われたら、一瞬のうちに生命を絶たれる。

せいぜいが出版社の編集者に揉み手をして近づいて、お仕事をいただくのが関の山だろう。

この辺りはヘアメイクにも共通したものがあって、ヘアメイクなんかは特にタレント個人個人の好みに左右されることが多いから、売れっ子タレントのお気に入りになれば、タレントがこけない限りは安心。

ただ、スタイリストに比べてヘアメイクがマシだとすれば、それは持っている物が小さくて軽いという一点のみ😅。

洋服なんて数着持ったら果たして何キロになるかわからないぐらい重い。スタイリストが肉体労働と呼ばれるのはそういうところから。

それに比べればヘアメイクは腕力が弱くてもやっていけるけど、しかし「持ち出しが多い」というリスクもある。

日本だけじゃなく、ロンドンとかニューヨークで新しい化粧品が発売されたとなれば、いちどは試してみて、それを新しもの好きのタレントに施術して気に入ってもらうなんてことをするためには、先行投資が馬鹿にならない。気に入られなければ、それらの化粧品はみんな持ち出し。

だから出版不況の波をまともに食らったのは、出版全盛(雑誌全盛)のと頃には花形の存在であったスタイリストやヘアメイクがまずいちばん最初に近いと思う(たぶんテレビ業界もおんなじ図式かと)。

いまだにスタイリストやヘアメイクの「先生」と呼ばれている人たちは、業界に入るのが早く、苦労してタレントたちに絶大なる信頼を得ることに成功した「大御所」の人たちばかり。

とてもこれから若い人が入り込んでいける分野じゃないだろうと思う。

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だから先見の明のあるヘアメイクなんかは、ちょっと田舎に引っ込んで自分でヘアサロンの店を開業したり(仲良くなったタレントさんに、自分がメイクした写真なんかをお借りして宣伝チラシを撒いたりする)、もともと簡単な採寸ぐらいだったらできる手先の器用なスタイリストさんが、お手製のオーダーの帽子を作るというので帽子の制作技術を学んで、帽子好きのお客さんのために、世界でひとつしかない帽子の店を作ったり……

それら(技術をつける。こぢんまりとした店を開くなど)はまず最初にやるべきことであって、以前のように華やかな世界にいる師匠についてヘアメイクやスタイリストの修行をしてから独立する手立てとして(もしくは食えないから)、というのとは順番が逆だと考えておいた方がいい。

もはや地道に生きるしか手立てのない世界に入っているといっていいだろう。

 

じゃあ、同じく出版の中で、他の職業はどうなんだろう。