✨どしゃ降りだっていいじゃないか。最後に晴れれば✨

小説家・小宅高洋(新ペンネーム)のひとりライフ。

■ 12/1(土) 朝から不愉快な更新で恐縮です(1)

不愉快なことだから、なるべく思い出さないようにしていたが、元妻が軽い酒乱であったことを、友人の奥さんとか、古いつきあいの女性ライターとか、他の人から指摘があって、そうだったのかとようやく気がついた。離婚する前後だからもう6年ぐらい前のこと。

 

自分自身はその渦中にあったから性格の不一致とばかり思っていたし、役人の娘だから、口では理解していると言いながら、明け方とか朝とかにタクシーで帰ってきて、お昼過ぎにもさーっと出かけていく姿が嫌だったんだろうとばかり思っていたが、実はそれ以前に酒乱の気があったとは思わなかった(たぶん思いたくなかったんだと思う)。

 

とにかく最後の最後にすべてをぶち壊す人間であることはわかっていたから、誕生日をすると言っても、3年間お断りをしていた。

人の誕生日に酒を飲んで酔った挙げ句、父親そっくりらしい酩酊状態となり、

「あんた、ふざけんじゃないよ。え? こっちはあんたのためにどれだけ苦労してると思ってんだ」

と舌打ちしながら大きな声でわめき始める。

周囲に他の客がいようがいまいが一切おかまいなし。

 

僕は大酒豪ではあったけれども、自慢じゃないが、恥ずかしくて行けなくなった店や出入り禁止になった店は1軒もない。

ところが元妻は、こっちが恥ずかしくて行けない店が4軒もある。僕が知っているだけで。

 

「一緒に暮らしてるのに、誕生日をやらないなんておかしいから」

という元妻の説得に応じて、4年ぶりの誕生日、駅前に新しく出来た居酒屋に家族全員自転車で出かけた。

どんどんと飲むペースが上がり、お銚子を4本ずつ立て続けに注文し始めた。

日本酒、とりわけ燗酒は危ないなとは思っていたのだが、止めたら止めたで大変なことになる。

しかし自他共に認める酒豪から「危ない」と思われるんだから、その酩酊具合は想像できるかと思う。

もともと喜怒哀楽が激しい女性だったし、結婚前はそれがとても感情豊かに思えたんだけれども、まさかそれが酒乱という結果になっていくとは思わなかった。

元妻が精算をすませ、みんなで帰ろうとして、信号待ちをしていたとき、フリーランスになったばかりの僕が、

「領収書はもらってくれたよね」

と確認したら、その一言だけで切れた。

「そんなこと会計前に言わないとわかんないだろ!」

いや、フリーになったら確定申告しなければならないから必要だとそれまでになんども言ってたんだけど……

で、

「じゃあこれから領収書もらってくるよっ。もらってくりゃ文句ないんだろ」

と自転車を反転させたとたん、ぶっころんだ。

酩酊しているから、もう自転車も漕げない状態だったのだ。

娘はまだ小学校5年だったから、せいぜい9時半ぐらいだったと思うが、そんな時間からすでにそんな状態。

 

僕はここで助けもしないで帰ろうとした。もう嫌で嫌でたまらなかった。薄情者と言われようがなんだろうが、目の前にいるのは家庭の中に棲む魔物だと思っていた。もう女であるとは思わないのはもちろん、人間とも思えなかった。

ところがここで驚くべきことが起こった。

「お父さん。もうほっといて帰ろう」

言うや、息子はそのままとっとと自転車で帰り始めてしまった。

ふり返ると元妻はなにをしゃべってるんだかわからない悪態をつきながら、路地をのたうちまわっている。

アハハハと笑ってもいた。

周囲にはバッグやらなにやらが散乱。

もう、いいと思った。我慢も限界だった。

娘に、

「帰ろうか」

と言うと、娘も帰ると言った。誰も「お母さんを助けよう」とは言わなかった。それどころか娘は、

「自分で飲んだんだから、しょうがないよ」

と覚めた口をきいていた。

子供心にあの酒乱の母親はもう嫌だと思っていたんだと思う。

 

それを昨日、娘の高校最後の誕生日にやったのだ。

間違いなく、狙い澄ましたように、最後の最後をぶち壊したのは想像にかたくない。

なぜ最後なのか、理由はいまだによくわからない。

 

やはり娘だけでも湘南の地に連れてくればよかったと今では反省している。まあそうしたら金がますますなくなっていただろうから、どこか勤めなければならなかっただろうけれども。