✨どしゃ降りだっていいじゃないか。最後に晴れれば✨

小説家・小宅高洋(新ペンネーム)のひとりライフ。

■10/5(土) 断酒1068日目 ①最後のお別れか……娘から怖いよとメールが。

■朝から風烈しく、すぐそこまで颱風が来ているのかと思うほど。

どんよりとした曇天で、時おり小雨ぱらつき、案の定腰や膝がひどく痛む。起き抜けということもあって痛みの程度はさらに増して重苦しい感じ。

目が覚めてからも延々とそれが続く。

「リリカ」25㎎を時間をずらしながら2錠服用するも、ほとんど効かず。まるで夜の発作のごとし。

 

■昨夜寝る寸前、めずらしく娘からメールが届いた。

送信は0時15分15秒。

いわく、

「なんか、今微妙にギターの弦を鳴らす音がきこえた。でも何秒かしてた。

怖くてリビングにきた。」

こんなメールは初めてだったが、アイフォンの支払いとか、なにか買って上げる時とかにしか、なかなかメールを寄越さないから、

「いるね。いるよ」

と怖がらせるメールを送ったら、返事が返ってこなくなった(^◇^;)。

これは本気で怖がっているかも知れないと、摩利支天の真言を教えて、これをできれば27回、緊急時には9回唱えろと、

「オン・アニチヤ・ウン・マリシエイ・ソワカ

という呪文をメールで送ってやったのだが、そのせいでよけい返事が来なくなったような気がする(^◇^;)(^◇^;)。

 

この真言の呪文は、大昔、取材で新興宗教の教祖さまのところに入ったことがあるのだが、摩利支天(マリシテン)をあがめるこの宗教団体の女性教祖さまが教えてくれたもの。

そのおかげだかなんだか、その後連載で、いわくつきの心霊スポットに何度か足を踏み入れたのだが(心霊スポットなどという言葉もない時代で、まだ肝試しをしようという若者が近隣の居住者に迷惑をかけるといった騒ぎになるより前の話)、無事生還できたのはそのおかげか(;^ω^)。

 

■話は飛ぶが、その連載では毎回違った霊能者に同行願うことにしていたのだが、いやはやこれがまあ、いい加減なヤツが多くて目がテンになったことも数度。

例えば今はもうとっくに取り壊されて跡形もなくなってしまった相模外科病院に探検に出かけた時のこと。

お願いしていた女性の霊能者が、

「お腹が空いた」

というので、しかたなくロケバスでドライブインを探して夕食を摂ることに。腕に買い物かごをぶら提げていたので、

(こんな普通の主婦にしか見えないオバサンが霊能者なんだからなあ。世の中外見じゃわからないもんだよなあ)

と思っていた。

 

店に入っていろいろと打ち合わせをしたのであるが、同行しているライター2名(探検隊兼ライターとして)、カメラマン1名が、それぞれ豚の生姜焼き定食などごく平均的なものを注文したのに、その中年の女性霊能者、ひとりで特上ステーキ定食を頼みやがり給ひ(3000いくらかした)、思わずふざけるなと言おうと思ったが、これから悪霊から守っていただくわけだしと怒りをしずめて黙々と食事を平らげたのである。

その後病院内に入ると、

「この地下には絶対に足を踏み入れちゃだめよ。霊安室がいちばん危険だから」

とおっしゃる。

「いやしかし、そこがこの企画のミソですから、霊安室を抜きにしては成り立たないんです」

と言ったところ、先生、

「じゃあ」

と言いながら、片手の指でささっと空中になにかを描くようにして、霊から身を守る術をかけてくれたのであった。

「じゃ、さっそく行きましょう」

と僕がうながすと、先生、

「あら。あたしはここまで」

と言うではないか。

「へ?」

と驚いていると、

「ほら、もうこんな時間でしょ? そろそろ主人が帰ってくるから、買い物して帰らなきゃならないのよ。呪文は唱えておいたから、あなたたちだけでだいじょうぶだわ」

と言って、さっさと姿を消してしまったのであった……。

(だから買い物カゴ持ってやがり奉ったのか。チクショー。ステーキに食い逃げじゃないかよ!)

と怒り心頭に発したが、後の祭り。

かくのごとく、会った中でマトモだった霊能者は、摩利支天の教祖さまを入れてもわずかに2名。その他はまた機会があったら書くつもりだけれど、跳び蹴りを食らわしてやろうかと思うような連中ばかりだった…… (-ω-;)。

 

■で、話をもとに戻すと、今朝早く娘からメールがあり、

「今日納骨式なんだけど、あたしだけ出られないから、会いに来たのかもしれない」

と書いてあった。

そうか……納骨式、今日だったのか……。

これは先日ガンで亡くなった元妻の母のことで、夫婦ともに出身地が違うため千葉にお墓がないこともあり、夏前からずっと家にお骨を安置していたのだ。

どこかの霊園に墓地を買ったのか、あるいは今増えているというロッカー式の納骨堂を購入したのかも知れないな……。

何年かは二世帯住宅で暮らしたこともあるわけだから、なんとも複雑な感情に襲われたが、今はその家にとって僕は他人。内情はよくわからないが、納骨式の前日、3階にある娘の部屋(天井の広い収納スペースを改造したもの)にやって来て、御茶ノ水で僕が娘に買ってやったエレキギターの弦をぼろんぼろんと鳴らして自分がここにいることを知らせ、孫娘にさよならの挨拶をしに来たのかも知れない。

 

僕も娘も、残念ながら(?)霊能力というものとはほとんど無縁なのだが、元妻はほとんどが見えてしまう体質であったから(息子も影響されやすい体質らしく、時おり妙になにかを怖がることがあった)、血を分け与えた義母にも、なにかそうした力があったのかも知れない。

娘は怖いモノは好きだけれども、それはテレビの恐怖番組を観るレベルの話で、元妻や息子と違って、怖い体験をしたことはいちどもない。

それがいきなりメールを寄越したというのは、よほど怖かったのだろう。

しかもそれが納骨式前日の夜ともなれば、この鈍感な僕にしても、たぶん最後のお別れに来たんだろうなと思わざるをえない。

いろいろと複雑な思いがあって、考えがよくまとまらない。