✨どしゃ降りだっていいじゃないか。最後に晴れれば✨

小説家・小宅高洋(新ペンネーム)のひとりライフ。

■7/19(金) ④娘とだって、一期一会。

■主治医の先生のところで初めて診察を受けたのは、22年の晩秋だったと思う。

今年、夏が終われば、丸3年。

早いものだ。

 

その時先生が、診療の最後にこう言っていたのを思い出していた。

「いや、僕の同期でね。××大学の剣道部の顧問をやっとる人間がいるんだよ。彼は肝硬変でね。それでも酒をやめないんだ。だましだましだけど、飲む時は痛飲しておるんだね。

しかし彼は僕のところに診察を受けに来てから、なぜか20年も生きとるから。いやあ、なぜかよく持っとるんだなあ。だからだいじょうぶ。僕が治すよ。君もがんばれ」

先生は慰めのつもりでおっしゃったんだろうが、僕にとってはかなりショックだった。

つまり、20年も生きているのは僥倖であって、肝硬変ともなると、もっと短い期間で死ぬこともあり得るんだと、初めて死を意識した瞬間でもあった。

 

1日、3年半ぶりに会うこととなる娘が、3泊で遊びに来てくれる。

20年も寿命があるとは思わないが、すでに3年を費やしたと考えれば、あと10年かな、と自分では覚悟して、すっかり明鏡止水の気持ちになっている。

もちろんここまで落ち着くのにはずいぶんと紆余曲折もあったし、感情のコントロールがきかないこともあったし、それまで何十年も体をむしばんできた酒毒のせいで、脳までいかれていたのだろう、がくんと筆のスピードが落ちた。

 

今では、何気ない風景を見ても、心に刺さるものがある。

花、樹、波、雨、風、空。

娘は焼けるのがいやだと、日焼止めクリームを塗りたくっているらしいが、せっかく湘南に来るのだから、サーフィンスクールの体験コースに参加させてやりたい。

「水着持って来な。別にそれで日焼けするつもりでビーチに寝ているわけじゃないけどさ」

サーフィンのことはおくびにも出さず、ちょっと探りを入れてみたら、さきほど

「いやあ、水着はもう昔のしかないからだめやー」

というメールが返って来た。

古い水着だからダメだけど、水着を着ること自体は嫌がっていないようだ。

じゃあH&Mとかで、使い捨てでもかまわないような値段の水着を買って(スイムスーツでも2500円ぐらい。ビキニとか言い出したらトップとボトムで4000円を超えてしまう……)、5000円ほどの体験スクールに入れてしまいたい。

 

両方合わせると、8000円ぐらいか……

無理かな。

でも、なんだか最近は、一期一会という気持ちが先に立って……

結局また来年になってしまう可能性が高いけれども、浪人中、かなりがんばって勉強しているらしいから、思い出を作ってやりたいと、そんなバカな甘い親心を位台たりして……

 

夢はまた夢か。

来たら、あっという間に帰る時。

 妄想が始まったから、もう寝よう。